アンカースクリュー矯正ってどうなの?ガミースマイルの有効性を徹底解説
笑ったときに上顎の歯茎が大きく見えてしまうガミースマイルの矯正治療にはさまざまな種類があり、そのうちの一つがアンカースクリュー矯正です。
主に骨や歯が原因のガミースマイルの矯正治療に効果的な方法とされていますが、多くのメリットがある反面、いくつか注意しなければならない点もあります。
そこで今回はガミースマイルの矯正治療を検討されている方向けに、アンカースクリュー矯正の概要やメリット・デメリット、注意点について解説します。
Contents
歯科矯正用アンカースクリューとは?
歯科矯正用アンカースクリューとは、直径1~2mm、長さ6~10mmほどの小さなチタン製のネジ(アンカースクリュー)を歯茎の骨に埋め込み、歯を動かす際の土台(固定源)にする治療法のことです。
アンカースクリューを固定源としてワイヤーで歯を引っ張り、望む方向に動かして矯正します。
アンカースクリューに用いられるチタンは、人工関節や人工歯根などにも使われる金属で安全性が高く、歯茎の骨に直接埋め込んでもアレルギーなどを起こすリスクは少ないといわれています。
歯科矯正用アンカースクリューの手順
歯科矯正用アンカースクリューを用いた治療では、まずレントゲンを撮影し、スクリューを埋め込む部位・方向を決めます。
実際の施術では患部の消毒を行った後、少量の麻酔を使用しドライバーを使ってアンカースクリューを埋め込んでいきます。
ドリルを使って誘導孔を形成するケースもありますが、基本的には普通の木ネジと同じ要領でスクリューを埋め込んでいきます。
しっかり植立されたことが確認できたら患部を消毒して治療は完了です。
術後は化膿や炎症を抑えるために抗生物質や鎮痛剤が処方されます。
矯正が終了したらアンカースクリューを抜く施術を行いますが、埋入時とは異なり、ほとんどのケースで麻酔は不要です。
スクリューを埋入していた歯茎および骨には穴が空いていますが、歯茎の穴はすぐにふさがりますし、骨も数カ月で元に戻ります。
歯科矯正用アンカースクリューのメリット
歯科矯正用アンカースクリューでガミースマイルを治療するメリットを5つご紹介します。
1. 別の治療では難しかった方向にも歯を移動させられる
歯科矯正用アンカースクリューは、埋め込む部位や方向を自由に選択することができます
そのぶん、上下左右どの方向からも歯を引っ張ることが可能となり、奥歯を固定源とする従来のワイヤー矯正に比べると、より理想的な方向に歯を動かすことが可能となっています。
2. 前歯の移動量を増やせる
従来のワイヤー矯正では、前歯と奥歯を互いに引っ張り合う形になるため、前歯を動かすと同時に固定源となる奥歯も少なからず前に動いてしまいます。
歯科矯正用アンカースクリューでは、ネジを固定源にするため奥歯の不要な動きがなく、前歯を大きく後ろに移動させることができます。
3. 治療期間を短縮できる
従来の方法では、奥歯に負担がかかってしまうため少しずつ段階的に歯を動かしていく必要があり、治療にはある程度の時間が必要でした。
他の歯を固定源としない歯科矯正用アンカースクリューなら、一度に多くの歯を動かすことができるため短い期間でガミースマイルを治療することが可能です。
4. 痛みの心配がない
歯科矯正用アンカースクリューの治療では少量の麻酔を用いるため、施術中に強い痛みを感じる心配はほとんどありません。
出血量も少ないので、施術後の日常生活に支障を来しにくいところが大きな利点です。
5. ヘッドギアの装着が不要
従来のワイヤー矯正では、固定源とする奥歯がなるべく前に動かないよう、ヘッドギアと呼ばれる装置を頭部に着用する必要がありました。
見た目が目立つうえ、10時間以上装着しなければならないので、患者さんに大きな負担がかかってしまうところが難点です。
歯科矯正用アンカースクリューは奥歯が動く心配がないので、ヘッドギアを装着する必要がなく、患者さんの心身に負担をかけずに治療できます。
歯科矯正用アンカースクリューのデメリット
歯科矯正用アンカースクリューにはメリットがたくさんある一方、いくつかのデメリットもあります。
術後に後悔することのないよう、治療には以下のようなデメリットもあることを念頭に置いておきましょう。
1. アンカースクリューが動揺・脱落する場合がある
歯科矯正用アンカースクリューは、矯正が終了したら除去します。
そのため、通常の永久的なインプラントと比べると動揺・脱落するリスクは高くなります。[注1]
ただし、埋入したスクリューが動揺・脱落した場合は、当初の位置より少しずらした場所に再度スクリューを埋入することになります。
[注1]J-STAGE|アンカースクリューの破折について
https://www.jstage.jst.go.jp/article/dokyo/41/1/41_KJ00009263534/_pdf/-char/ja
2. 炎症・腫れが生じることがある
歯科矯正用アンカースクリューを埋入すると、患部にしばしば炎症や腫れが起こることがあります。
一時的なものであれば時間の経過とともに自然におさまりますが、術後の処置が適切に行われないと炎症が悪化し、スクリュー周囲の感染症を引き起こす原因となる場合があります。
歯科矯正用アンカースクリューの注意点は?
歯科矯正用アンカースクリューでガミースマイルを治療するにあたり、注意したいポイントを2つご紹介します。
1. 術後は口腔内を清潔に保つ
歯科矯正用アンカースクリューのデメリットでも触れましたが、施術後に口腔内に汚れや雑菌が溜まると患部に炎症を引き起こす要因となります。
感染症が悪化すると歯茎が弱って歯科矯正用アンカースクリューの動揺・脱落を招く原因となるので、術後はタフトブラシなどを用いて患部周辺を清掃し、清潔に保つ必要があります。
患部の清掃方法については、術後に歯科衛生士から指導があるのでよく説明を聞き、わからないことがあったらその場できちんと尋ねて疑問を解消しておきましょう。
2.術後数日は違和感が残る場合がある
歯科矯正用アンカースクリューは非常に小さいネジなので、見た目にはほとんど目立ちませんが、術後数日は違和感が残る場合があります。
人によってはストレスを感じるかもしれませんが、特に治療や処置は必要なく、しばらく時間が経てばだんだんと慣れてくるでしょう。
歯科矯正用アンカースクリューはガミースマイルに効果的なのか?
ガミースマイルの原因は複数ありますが、骨格や歯並びに原因がある場合、歯そのものの位置を動かして矯正する必要があります。
かつて骨格や歯並びを原因とするガミースマイルの治療では、左右の前歯から4番目にあたる歯を抜歯し、1本分のスペースの骨を切った上で前歯を後ろに移動させるセットバック(上顎前方歯槽骨部骨切術)という外科手術が必要でした。
しかし、抜歯と骨切をともなう外科手術は非常に大がかりなもので、全身麻酔を施した上で約2時間もの施術を受ける必要があり、患者さんに大きな負担がかかるものでした。
その点、歯科矯正用アンカースクリューは埋入に約15分ほどの時間しかかからず、麻酔も少量で済むので患者さんの負担を大幅に軽減することができます。
スクリューは目立たない部分に埋入してヘッドギアの装着も不要なので、日常生活で見た目を気にする心配はほとんどありません。
ガミースマイルを解消したいけれど、見た目や体への負担がネックで手術に踏み切れないという方にとって、歯科矯正用アンカースクリューを用いたガミースマイル治療は非常に効果的な方法といえるでしょう。
歯科矯正用アンカースクリューに抵抗がある方はドクターに相談を
歯科矯正用アンカースクリューはガミースマイルの治療に効果的な手段の一つですが、歯茎や骨にネジを埋め込むのは抵抗があるという方は、歯科医院でドクターに治療の意向や希望を伝えたうえで、治療方法を相談してみましょう。
ガミースマイルの治療法にはさまざまな治療方法があるので、ドクターに相談すれば、一人ひとりに適した治療法を提案してもらえます。
ただ、ガミースマイルの治療法は歯科医院によって異なるので、治療実績が多く信頼できるクリニックを選ぶことをおすすめします。
アンカースクリュー矯正はガミースマイルの治療に効果的な治療法
奥歯を固定源とする従来のワイヤー矯正に比べ、チタン製の金属ネジを固定源とするアンカースクリュー矯正は、前歯の移動量を増やせる奥歯に負担をかけない矯正の幅が広がるなど、さまざまなメリットがあります。
抜歯や骨切も不要なので、施術時間も短く、かつ患者さんにかかる負担も小さくなるため、ガミースマイルに悩みつつ、なかなか手術に踏み切れなかった方にもおすすめの施術です。
ただ、アンカースクリュー矯正は、適切な施術・処置を行わないと動揺や脱落、炎症などのリスクが高くなるので、技量・実績ともに豊富な歯科医院を選ぶようにしましょう。